
マンションを売却する際には、一社だけに相談するか、それとも複数社に依頼するのかを決めることが大切です。これによって専任媒介になるのか、一般媒介になるのかが決まります。どちらにするかは悩ましい問題ですが、複数社に依頼して、一般媒介契約を結ぶのがおすすめできるケースもあるので要チェック。
今回は、複数社に依頼するメリットなどを見ていきましょう。
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複数社にマンション売却を依頼できるの?一社だけの場合と比較

複数の会社にマンション売却を依頼できるのか、との疑問があるかも知れません。結論としては、全く問題はないと言えます。ただし、複数社との契約をするか、それとも一社だけにするかで違ってくる点もあるため、これには注意が必要です。
マンションの売却を不動産会社に依頼するには、媒介契約を結ぶことになります。
売主と買主の間に不動産会社をおいて、買主探しや契約手続きなどをサポートしてもらうわけです。複数社に依頼する場合には一般媒介となり、一社だけに相談する場合には専属媒介あるいは専属専任媒介となります。まず、一般媒介契約は複数の不動産会社と契約できるのが最大のメリットです。
契約期間も特に制限はありません。ただし、その分は不動産会社へ課せられる義務は、軽くなっています。具体的には、業務状況の報告やレインズへの登録義務がありません。報告義務は文字通り、依頼者に対して業務の処理状況を連絡すると言うものです。
レインズは不動産流通標準情報とも呼ばれているデータベースで、これに物件を登録しておけばネットワークを介して購入希望者を見つけやすくなるのがメリット。一般媒介ではレインズへの登録義務はありませんが、やっては駄目と言うわけではありません。
効果的と判断するのなら、レインズへの登録を行っても大丈夫です。対して専任媒介の方は、複数社の利用はできません。その分は課せられる義務が重くなっており、報告やレインズへの登録が必須となっています。契約期間も短めに設定されていて、3ヶ月以内に更新することが必要です。
複数社に依頼した方が良い会社を探しやすい
一般媒介契約では、複数の不動産会社に購入希望者探しを依頼できるため、専任媒介よりも早く買主が見つかるケースもあります。一般的には専任媒介の方が丁寧に購入希望者を探してくれるため、早く買主が見つかる可能性も高いものの、全てのケースでそうとは限りません。
一社だけだと、契約した不動産会社が頼りにならず、専任媒介から一般媒介に切り替えた途端に売れたなんてケースもあるのです。つまり、複数社と契約すると、それだけ腕利きの不動産会社を見つけられる可能性が増してきます。
競争心理が働く可能性も
マンション売却における媒介契約では、不動産会社は売買契約を成立させることで利益を得ることができます。逆に言えば売買契約を成立させられなかったら、不動産会社は利益が得られません。自社が頑張っていても、他社に先をこされたら儲からない仕組みです。
このために、一般媒介契約では他の会社より先に契約を取ろうと、競争心理が働くことがあります。対して専任媒介の方は、親身にサポートしてくれるイメージもあるものの、囲い込みを行って利益を独占しようと考えるケースがあるのが、問題点です。
囲い込みを行う会社には、売主・買主ともに自社で契約をとって、手数料を両取りしようと言う狙いがあります。不動産の媒介契約においては、売主はA社、買主はB社と言う具合に、間に立つ会社が異なってくる場合があるのです。
これは売却側をA社、買主側をB者がそれぞれサポートしたことになるので、成功報酬を2社で分けることになります。もちろん、A社からするとB社は目の上のタンコブです。そこで考えるのが、B社のような他の会社が登場する前に、自社で買主を探すと言うこと。
売主と買主の双方からA社が依頼を受けたなら、報酬を山分けする必要がありません。そのために正攻法で頑張ってくれると良いのですが、囲い込みと呼ばれるあくどい手段を用いるケースがあるのです。どのような手口が用いられるか見ていきましょう。
例えば、他の不動産会社が声を掛けてきても、「既に商談中」と言うことで門前払いしたりします。他社と媒介契約を行っていない買主を探したいので、不動産会社が声を掛けてきても無視してしまうのです。これでは売却タイミングを逃す可能性もあり、売主側としてデメリットになるのは言うまでもありません。
この点、複数社に依頼していると、そのような悠長なことをしている場合ではないのです。複数社が売主をサポートしている場合、いずれかが契約を取ってくると、他は利益が得られません。このために囲い込みをする余裕はなく、他社に先を越されないように積極的に行動する可能性があります。
一括査定を利用できるのが魅力
売主にとって大きな関心があるのは、マンションを売るとして、どの程度の価格になるのかと言う点でしょう。
売却価格は、投資用なら成功と失敗の分岐点にもなりえます。居住用でも、できるだけ高く売れた方が好ましいはずです。そこで売却前には査定を使って価値を確かめていくのですが、これは複数社を利用した方が有利な傾向にあります。
一社だけですと、もしも、頼りない会社だった時には困ったことになりかねません。相場とは大きく異なった額を提示された結果、安く買い叩かれることもあれば、高値設定をしてしまい売れないこともあります。複数社に依頼すると、相場が見えてくるのがメリットです。
一社だけ突出して高値を付けているような時でも、すぐに判ります。また、いろいろな意見を聞くことができるので、売却の方針を決めるためにも役立つでしょう。
複数社への相談が特におすすめできるケース
一般媒介契約にはメリットが多いものの、専任媒介にも良い点があり、どちらにするか迷うことも少なくはありません。いずれにするかはケース・バイ・ケースで、不動産会社と相談しながら考えていくことが大切ですが、一定の判断ポイントもあるので見ておきましょう。
まず、一般媒介契約がおすすめできるのは、人気の高い物件のケースです。人気エリアで駅も使いやすいと言うような物件なら、短時間で買主が見つかる可能性が高まります。他には、実績豊富な不動産会社を多く知っている時にも、おすすめです。
実績がある会社は営業力も高いはずですから、一般媒介契約においても頼もしい存在となりえます。